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今更聞けない!ドラレコの役割とオススメの機能

 近年、ドラレコを車に搭載するドライバーが増えています。走行時のあらゆるデータを記録することで、万が一の事故があった際の原因究明に役立つほか、ドライバーの意識を変えるさまざまなメリットがあるのです。今回はドラレコの機種、そして主要な機能を紹介します。

ドラレコとは?

 ドラレコとは「ドライブレコーダー」の略で、衝突や急停止などで車両に大きな衝撃が加わったとき、その前後十数秒間の、車両の前方映像と音声を記録する車載機器のことです。
 事故発生時の映像を記録できることから、映像を警察や保険会社に提出することで事故の参考資料として採用され、事故処理がスムーズに運ぶこともあります。
 また、記録された映像をドライバーが見ることで、自身の運転技術を冷静に振り返れます。いわゆる「ヒヤリ・ハット」など、ドライバーの事故をおこしやすい状況を把握し、その反省を生かすことで安全運転への意識を高めます。ドライブレコーダー搭載車のドライバーは、常に撮られていることを意識するので、危険の少ない運転を心がける心理的な効果もあると考えられています。

ドラレコにはどんな機種がある?

 ドライブレコーダーには、前方だけを録画するものが最もスタンダードですが、その他にも種類があるのはご存知でしょうか?
 ここでは、最もメジャーな3タイプを紹介します.

360度型

 名前の通り、前後左右あらゆる方向の映像を撮影できるタイプです。前方向だけのタイプや前後タイプと比べて死角が少なく、横や斜め方向なども撮影できるのがメリットです。事故やトラブル時の証拠映像を逃さずに記録できます。
 ただし、モデルによっては垂直方向の画角が狭い場合があります。停車位置の上に信号機があるような状況だと、高さによっては映像に収められないことがあるので注意しましょう。

ルームミラー型

 フロントガラスについているルームミラーに固定して利用するタイプです。設置場所を選ばず、さらに視界を奪うことなくいつもの視野を保ったまま録画できるのが大きな特徴です。
 ただしルームミラーに固定するという性質上、カメラの位置を自由に変えることができないというデメリットもあります。特に最新の車は、ルームミラー近辺に自動運転支援のためのカメラやセンサーが取り付けられていることもあり、ルームミラー型のドラレコを設置した場合、画角に写り込んでしまうことがあります。
 また、ミラーがデジタルタイプの場合、焦点距離が前方視界とズレが生じるというデメリットも生まれます。
 普通の鏡の場合、焦点距離は実像と同じになるため、前方を注視した状態からルームミラーに視線を移しても、焦点距離はほぼ同じでピントが合いますが、デジタルミラーは、焦点は液晶面になるため、前方から視点を移した直後にピントが合うのに時間がかかったり、目が疲れてしまうのです。

前後分離型

 車の前方を録画するカメラの他に、後方録画用のカメラを分離して設置するタイプです。後方録画の画質が鮮明であることが特徴で、後ろから接近してくる車のナンバープレートも容易に読み取ることができるほど画質がよいです。追突事故や煽り運転被害の録画能力は3タイプの中で最も優れています。
 ただし側方の画角は確保できないので、側面からの貰い事故の場合、決定的瞬間が収まっていないケースも考えられます。

ドラレコのオススメの機能とは?

 ドライブレコーダーを取り付けるに当たって、特にオススメする付加機能が「駐車監視機能」です。
 駐車監視機能とは、本来の走行中の映像撮影にくわえて、エンジンがストップしている駐停車中も撮影できる機能で、車を離れていた間の事故やイタズラを監視するのに役立ちます。
 駐車監視機能の録画には、常時録画、Gセンサーによる衝撃検知録画、モーションセンサーによる動体検知録画の3つがあります。

常時録画

 常時録画は、文字通りエンジンがストップしていても、走行中と同じクオリティで録画を続ける機能です。
 常時録画を行っている間は常に録画ファイルの内容が更新され、マイクロSDの容量に応じて、古い順に動画を削除していきます。
 常時録画機能のデメリットは、マイクロSDの容量や設定によっては、駐車中の事故の瞬間が録画されていないことがありうる点です。例えば常時録画の設定を三時間にしていた場合、事故が四時間前に起きたケースですとその瞬間はファイルとして残されていないことになります。

 そのため、この機能を求めて買う場合は、どのくらいの時間録画できるのか、設定は変更できるのかなどを詳しく調べておく必要があります。
 動画の撮影方法自体が走行中と変わらないため、駐車監視の手段としては最も優れているでしょう。

衝撃検知

 衝撃検知録画は、車への衝撃を検知することで撮影を開始する録画方式です。この機能により、当て逃げ等の衝撃を伴う事故に備えることができます。
 衝撃に対するセンサーの感度は自分で調整できるドライブレコーダーが多い一方で、感度を最高に設定しても、ドアに少し擦ったぐらいの衝撃では反応しない場合もあります。

動体検知

 動体検知録画は、カメラの撮影範囲内で、人や物の動きを感知すると撮影を開始する録画方式です。車に近づくあやしい人影や車両を捉えることができ、車上荒らしや車へのいたずらといった犯罪の様子をしっかり撮影できます。
 一方で、動く物には何でも反応するため、人や車の往来が多い場所での使用には向きません。人通りの多い場所で使用すると、不要な撮影を繰り返してSDカードなど記録媒体の容量を圧迫したり、車のバッテリーへの負荷が大きくなったりするので注意が必要です。

ドラレコはどれくらい役に立つ?知っておきたい証拠能力

 ここまでで、ドライブレコーダーの必要性や機能について解説しました。
 では、実際に事件や事故が起こった際、ドラレコはどのように役立つのでしょうか? また、本当に証拠として有用なのでしょうか?

 次の項目から、ドラレコの証拠能力がどれほどのものなのか、見ていきましょう。

ドラレコは証拠になる?

 結論から言えば、証拠として有力であることが多いです。
 「有力な証拠になります」と断言できない理由は、交通事故には刑事事件として処理されるケースと、民事事件として処理されるケースに分かれるからです。

 刑事事件は検察と被告人が当事者であり、被告人の罪の有無や量刑を問う手続きです。
 対して民事事件は私人同士が当事者であり、話し合いや訴訟によって賠償内容を決める手続きです。

 刑事事件の場合、警察などの捜査機関が事故を調査します。その際にドラレコを証拠として使うかどうかの判断は、捜査機関に委ねられます。一度証拠として押収されたとしても、裁判において証拠として用いられるとは限りません。
 民事事件の場合は示談や訴訟の場において、客観的な証拠として用いられます。特に互いの過失割合について双方の言い分が食い違った場合に役に立ちます。裁判で提出した場合、裁判所がドラレコの映像を元に、適格な過失割合を当て嵌めてくれます。

ドラレコが役に立つケース

 ドラレコの映像は証拠として大きな力を持ちますが、特に以下のようなケースではドラレコの映像が決定的となることもあります。

当事者同士の意見が食い違った場合

 交通事故が起きると、当事者同士の意見が食い違うことがあります。例えば信号が赤だったかどうかや、一時停止を行ったか否か、などです。どちらの言い分が真実なのかについては、後から駆け付けた警察も保険会社も弁護士も知る術はないのです。

 しかし、当事者同士でしか知りえない事実によって過失割合や、被害者に支払われる損害賠償の額が変わってきます。当事者同士の意見が一致しない際に、ドラレコは重要な手がかりとなりえるのです。

当て逃げ・ひき逃げの場合

 当て逃げやひき逃げなど、交通事故が起こったあとに加害者が現場から逃走してしまうケースでは、咄嗟の出来事に対し、被害者の記憶や証言が曖昧になってしまい、犯人を探し出すのが困難な場合があります。

 このようなケースでもドラレコの映像が証拠として有力になります。加害者の車種やナンバーが判明すれば、さらに捜査がしやすくなります。

被害者が入院・死亡してしまい証言できない場合

 被害者の大きなけがや死亡によって証言ができなくなると、加害者の言い分が加害者の主張だけで判断されてしまう恐れがあります。この場合にもドラレコは被害者の代弁を行ってくれる非常に強い味方です。

煽り運転被害を受けた場合

 煽り運転は2017年に神奈川県内の東名高速道路で起きた事故を引き金に急速に注目されるようになりました。記憶に新しいのは2022年4月に、千葉東金有料道路で起きた煽り運転被害で、この事件はドラレコの映像を運転者がSNSにアップロードすることでクローズアップされました。
 千葉東金有料道路の事件は、記事執筆段階では容疑者が死亡しておりますが、警察は容疑者死亡のまま書類送検を行っています。捜査も継続して進められており、まさにドラレコがあったからこそ解決へ向かっている事例の一つと言えるでしょう。

ドラレコを付けていない人は、是非取り付けを!

 車を運転している方の多くは任意保険や、任意保険の弁護士特約に加入していることでしょう。普段は意識せずとも、いざというとき無いと困る、或いは心強い。ドラレコも同じです。

 ドラレコを選ぶ際に特に意識したいのが「解像度」と「夜間撮影能力」です。

 解像度は映像の鮮明度のことで、この値が高いと車種の判別やナンバープレートの読み取りが容易になります。
 夜間撮影能力が高いと、暗所でも映像が暗くならず、街灯や対向車のヘッドライトに対して映像が白飛びしなくなるため、映像の証拠能力が高まります。

 ドラレコは付けていればいいというものではなく、いざというときに証拠として使えるかどうかが肝心です。ドラレコを選ぶ際は、このような視点で探してみてください。