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板金塗装検討中の方必見!アマチュアにできないプロの「板金」のやり方とは?

「板金塗装して、ヘコミを直す!」とよく耳にしますが、板金とは具体的にどんなことをするのか?今回は、「板金塗装」の板金についてみていきましょう。

※通常は、『鈑金塗装』ですが、わかりやすいように、「板金塗装」で表記しています。       

板金塗装の【板金】とは具体的になにをするの?

人間でいうと板金は、「外科」にあたります。
車でいえば、たたいたり、引っぱったりして、元の形状に戻す作業です。
具体的には、「外板の板金」「内部の骨格修正」「パネルの交換」にわけられます。

「外板の板金」について

「外板の板金」は、ドア・フェンダ-・ボンネットなどの外側から見える所の板金です。
エクボや小さなヘコミを直すとき、裏からたたいたり、表面から引っぱったりして、できる限り元の状態に戻します。
たたいて、元の状態に戻しても、表面に微妙な凹凸ができるので、パテとよばれる、最初は粘土のように柔らかく、乾くと固くなる樹脂を塗ります。固まったら、表面をヤスリがけして、他の部分と同じように、平面や曲面を合わせます。

「裏から押したら直るでしょ!」とおっしゃる方がいますが、裏から押すと表面の塗装が割れたり、逆向きに表面がふくらんでしまいます。
また、大きくヘコんでいる所は、表面の外板が伸びてしまっているので「しぼる」と呼ばれる、外板が赤くなるまで熱を入れて、急速に冷却する方法で、外板を収縮させ、パテを塗って平面・曲面を合わせていきます。
平面・曲面を合わすため、表面のパテを削りすぎると、そこだけヘコミます。そのため、微妙な凹凸ができるので、熟練が必要です。

「内部の骨格修正」について

「内部の骨格修正」は、車を支える床部分のフロアパネル、エンジンや足回りを支えるサイドメンバ-・クロスメンバ-などの骨格部分に衝突などで、大きな力が加わると変形します。
変形した状態から、何トンという大きな力で引っぱって元に戻します。
この作業を「フレ-ム修正」といいます。
フレ-ム修正する時、注意が必要なのは、骨格部分にいろんな方向から、力が加わり変形しています。
どの方向から、力が加わったのか、しっかり見きわめることが必要です。
そして、引っぱって戻していくなかで、どれぐらい元に戻ったかを、たくさんの部分を計測して精度を高めることが必要です。

「パネルの交換」について

「パネルの交換」は、大きなダメ-ジを受けて修理することができない部分。修理すると交換するより価格が高くなってしまう部分。安全のため交換必要になった部品を交換することをいいます。

交換する部品をカットして、新しい部品を溶接します、
部品と部品の接合部分を重ねることができる時は、部品の材料を重ねることができる時は、部品の材料を点で溶かして溶接する「スポット溶接」を行います。
重ねることができない部分は、同じような材料を流し込んで溶接する「アーク溶接」などで溶接します。
注意しないといけないのは、足回りなど、大きな力が発生する部分は、どこでカットして溶接するかを、しっかり確認して施工しないと、溶接部分が割れたり、はがれたりします。

板金修理に使用する代表的な工具

板金修理に使用する代表的な工具をご紹介します。

※上記掲載写真は、富士自動車工作所様HPより引用

板金ハンマ-

一般的なハンマ-と違い、板金専用の形状をしています。
板金ハンマ-でクギを打つと、壊れてしまいます。
金属を打つ部分が、平らになっているもにや、デコボコになっているものがあります。

大きくヘコんでいる所を出したい時は「荒出しハンマ-」
ひずみを取ったりする時は「ならしハンマ-」
金属板を伸ばしたくない時は「しぼりハンマ-」を使います。
板金する部分や状態によって使いわけます。

ドリ-

ドリ-は、板金ハンマ-でたたくとき、受け側になる当て板です。
いろんな形状のものがあり、たたく材料の形状に合わせて、ドリ-の形を
選んだり、位置を調整します。

ドリ-を少しずらして、板金ハンマ-でたたくことを「オフドリ-」
ドリ-を当てている部分を、板金ハンマ-でたたくことを「オンドリ-」といいます。
修正するヘコミの状態によって、ドリ-の使い方も変わります。

サンドペ-パ-

サンドペーパ-は、平面・曲面を合わすため、パテを塗った所を削る時などに使います。
いろんな目の粗さのものがあり、大きく削りたい時は粗目。表面をツルツルにしたい時は、目の細かいものを使います。
目の粗い細かいだけでなく、そのまま、サンドペーパ-を使うタイプや、耐水ペーパ-と呼ばれる、材料を水でぬらしてからペーパ-がけをするタイプもあります。

パテ

板金ハンマ-とドリ-を使い板金しても、完全には元に戻らないので、樹脂でできたパテを塗って表面を削り、平面・曲面を合わせます。

パテは、パテ本体と硬化剤が別れているものは、混ぜて使います。
パテ本体のみのものは、そのまま使います。
パテは、容器から取り出した時は、やわらかく、次第に固くなります。手早く塗り込むと同時に、できる限り薄く塗ります。
厚く塗ると、修理後、年数が経過したとき、パテを塗った部分と塗ってない部分の境目が、浮きあがってしまいます。

溶接機

溶接機は、金属部分を交換して接合する時に使用します。
溶接は、接合部分の温度を高くして材料を溶かしてくっつけるので、溶接する部分が、反ってしまったり、材料の性質が変化しないように、確認しながら作業します。そして、作業に関して熟練が必要です。

フレ-ム修正機

フレ-ム修正機は、大きくダメ-ジを受けた骨格部分を引っぱって、元に戻すときに使います。

ボディ下側のジャッキをかける部分をはさんで固定した後、修正部分を引っぱるフレ-ム修正機や、ボディに取り付けられている足回りの取付ボルトが入る部分に「ジグ」と呼ばれる工具を入れて固定して、修正部分を引っぱる「ジグ修正機」など、いろいろなタイプがあります。

「ジグ修正機」を持っている板金工場は少ないですが、大ダメージを受け、変形した車をミリ単位で直すことができます。

※上記掲載写真は、富士自動車工作所様HPより引用

まとめ

板金といっても、損傷状態・損傷を受けた材料などで、修理方法は大きく変わります。
通常だったら、パネル交換になる所も、この方なら板金で直せるなど、「ウデの差」が通用する、職人の世界です。

そして、塗装と違い、目につきにくい部分ですが、板金がキッチリできていないと、キレイな塗装面が仕上がらない重要な部分です。

もちろん、カワグチ自動車では、『板金塗装』を扱っています。
バンパ-のカドの部分の塗装修理なら、¥12000円+税より修理できます。
ドアなどの外装部分は、中古部品を使って、お値打ちに修理することもできます。