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フロントガラスの飛び石リペアをDIYでやる方法!気になる出来映えは?

 つい先日、筆者の車が飛び石を食らってしまった。機関の整備はそれなりにこなしてきたが、外装やガラスについては全くの未経験。折角なので、市販のキットを使ってDIYでのガラスリペアを行うことにした。

フロントガラスのリペアの仕組み

 ガラスリペアには「レジン」という液体合成樹脂を使う。ガラスリペアに使うレジンは「UVレジン」といい、紫外線で硬化する一液タイプ。他には主剤と硬化剤の二種類の液剤を使う「エポキシレジン」や、紫外線ではなくLEDで硬化する「LEDレジン」等もあるが、ガラスリペアには用いない。ちなみにこのUVレジンは、近年ではスマホの保護ガラスを接着する用途として広まっている。
 レジンは粘度が低くサラサラしているのが特徴で、触った感触としてはミシンオイルに似ている。

 この油のような粘度の低さを活かし、ガラスのヒビに浸透させ、傷を埋めてしまうのがガラスリペアだ。

フロントガラスの飛び石リペアに必要な道具

リペアキット本体

 KUREのUFIXIT ガラスリペアキット。
 決め手はメーカーだ。DIYで整備を行う方なら、KUREの556やパーツクリーナーには一度ならずお世話になるだろう。
 Amazonで検索を掛けると格安の中華製リペアキットがずらりと並ぶが、キット自体の精度や後述するレジン液の性質を考え、高くても信頼できるメーカーのものをと思い購入した。

安全ピン

 飛び石が当たった部分を綺麗にするために使う。

スクレーパー

 仕上げの工程でレジンを剥離させるために使う。購入したキットには一枚付属していた。

ドライヤー

 気温が低いときでもレジン液の浸透を容易にさせるために使う。無くてもいい。

UVライト

 レジン液を太陽光より早く硬化させたい場合に使う。これも無くてもいい。たまたま持っていたので使った。

フロントガラスの飛び石リペアの施工手順

1.傷の中心を綺麗にする

 先の尖った鋭利な物を使って、衝撃点を綺麗にする。これは、仕上がりを綺麗にするためともう一つ、レジンの浸透を妨げさせないようにするため。
 飛び石クレーターの中心部は砕けた石やガラスの破片が、砂よりも細かい塵になって詰まっている。これを、安全ピンなどを使って掘り起こすイメージ。

2.傷の中心にポジションキットを取り付ける

 ガラス面から垂直に見て、ポジションキットと傷の中心が重なる位置に置けばいい。

3.ポジションキットに「レジンチャンバー」を取り付ける

 締め付け具合は、ガラスを裏面から見て、ゴムでできた先端が少し潰れるくらい。
 このときチャンバーの中心が傷の中心とずれていた場合、ポジションキットの位置を微調整しよう。

4.「レジンチャンバー」にレジンを注入する

 目安は3滴ほど。圧力を掛けるので、少しの量でもちゃんと傷に浸透していく。
 多すぎるとレジンの硬化に時間がかかってしまうので注意。

5.「プレッシャードライバー」を締め込んで10~15分間放置する

 レジンチャンバーに着座するまでは締め込まないようにする。その少し手前、回す指に抵抗を感じるようになったらガラスを裏面から確認してみよう。圧力を掛けられたレジンがヒビに染み込んでいくのがわかるはずだ。

6.「プレッシャードライバー」を緩めて気泡を抜く

 加えた圧力を抜くことで、ヒビの内部に残っていた空気が抜け、代わりにレジンが浸透する。ガラスを室内から見て、傷が透明になっていればレジンが浸透している。
 透明になっていない場合は、ドライバーを締める→緩めるという手順を何度も繰り返し行う。

7.補修箇所にレジンを数滴垂らし透明フィルムを被せる

 レジンが傷に浸透したことを確認したら全てのキットを取り外し、透明フィルムを被せる。
 筆者の飛び石傷は大きいヒビの上に、ヒビにはなっていない小さいクレーターもあったので、そこに1滴垂らしてからフィルムを被せた。
 追いレジンをしなくても、レジンチャンバーを取り外すときに、中に残っていたレジンで傷の周辺が濡れる。その程度で十分。

8.15分間太陽光またはUVライトを当てる

 UVレジンは空気と遮断された状態で紫外線を当てることが硬化条件。
 フィルムの中に気泡が残っている場合は綿棒などを優しく転がし、気泡を外に追い出そう。
 UVライトを使う場合は、太陽光よりも気持ち長めの時間を見た方がいい。

9.透明フィルムを剥がし余分なレジンを削り取る

 スクレーパーで削ぐ時のコツは、彫刻刀を使うイメージで行うこと。指先の力と刃先の角度を一定にし、真っすぐ滑らせる。
 ガラスの表面は普通の人が考えるより遥かに硬い。また、刃物は刃を立てなければ傷が付かない(カミソリで体毛を剃るときのように)ので、あまり怖がらなくても大丈夫。

フロントガラスの飛び石リペアの注意事項

1.焦らない

 ガラスリペアに限らず、DIYの基本はこれに尽きる。
 プロと違って、慣れない作業、慣れない手順を一つ一つ手探りしながらの作業になるため、時間に押されないよう、余裕を持って時間を取っておこう。

2.傷の掃除を丁寧に行う

 傷を綺麗にする理由は施工手順で述べたが、仮にこれをサボってしまった場合、微小なガラス片や砂がレジンと一緒に固まってしまう。ガラスリペアをやったのに傷が目立ってしまう要因になってしまうのだ。
 この手順に濡れたタオルを使って掃除するのは厳禁。水分が傷に入り込み、レジンの浸透を妨げてしまう。

 用意できる人は、使い捨てのエアダスターや乾いたマイクロファイバータオルなども使って、傷に詰まったゴミを徹底的に掃除しよう。

3.レジンにしつこく紫外線を当てる

 筆者は失敗してしまった。
 UVライトの使い勝手を確かめる目的もあって夜間に作業を行ったが、UVライトの紫外線照射力が想像より遥かに弱く、10分程度の照射ではレジンが硬化しなかったのだ。
 気付かずに一度フィルムを剥がしてしまったので、さらにレジンを数滴垂らし、新品のフィルムをもう一度被せ直し、さらに15分UVライトを照射して事なきを得た。
 しかし、塗布し直したレジンと元のレジンが層を作ってしまっている可能性はあるので、経年でレジンが劣化したときにどういう見た目になるかはわからない。

 日中に作業する人は、太陽光でたっぷり15分、UVライトを使う人は大きめのライトを用意することと、太陽光よりも長めの照射を心掛けよう。

 また、UVレジンは、空気から遮断された状態でないと硬化しないので、被せたフィルムの中に気泡が残っていた場合は綿棒や指の腹でフィルムをなぞり、気泡を抜いてから硬化させるようにしよう。

4.硬化後のやり直しはできない

 手順の5~6でしっかりとレジンを浸透させずに硬化させてしまった場合、ヒビの途中まででレジンが固まってしまうので、失敗に気付いてやり直そうとしてもレジンを浸透させることができない。
 こうなってしまうとプロでも手直しができなくなってしまうので、エア抜きは念入りに行うこと、硬化前にガラスを室内から確認し浸透具合を見ることだけは徹底したい。

フロントガラスの飛び石リペア完了!気になる出来栄えは?

 ヒビの中にしっかりとレジンが浸透し、言われなければ気付かないレベルにまで補修することができた。
 ただしガラスとレジンは光の屈折率が違うので、斜めから見たり光の角度を変えるとうっすらとヒビの跡は確認できる。

 今回の飛び石傷は比較的修復が容易な割れ方だったが、傷の大きさやヒビの入り方によっては、DIYで修復するのが難しい場合もある。
 素人にはその判断が難しい。
 DIYには「安く済む」というメリットもあるが、ガラスリペアの場合はやり直しが効かないことや、失敗すると車検に通らない可能性もある。不安な人は出費を覚悟してプロに任せるのがオススメだ。