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ブレーキから鳴る異音!不安を安心にするためにすべきこととは?

 信号待ちでブレーキを踏むと「キー、キー」「ゴー、ゴー」「ガリガリ」……。愛車からこんな音が聞こえてきたら不安になりますよね。特にブレーキは車を止めるという重要な役割を果たす装置。安心して車に乗るためにも、ブレーキについてちょっと詳しくなってみませんか?

ブレーキってどんな仕組み?

 ブレーキがなぜ鳴くのかを知るために、まずはブレーキの仕組みについて解説していきます。
 車を止めるブレーキシステムには、ディスクブレーキとドラムブレーキの二つがあります。サイドブレーキやフットブレーキと呼ばれるブレーキは、これら二つのブレーキシステムを使った安全装置のことです。
 他にはエンジンブレーキや回生ブレーキという言葉がありますが、エンジンブレーキはエンジンの回転が下がることを利用した減速手段、回生ブレーキはモーターによって回転運動を電気エネルギーに変換する際の発電抵抗と、主要なブレーキシステムとは大きく仕組みが異なります。

 ディスクブレーキもドラムブレーキも、ペダルやレバーを操作し、油圧をかけて摩擦材を回転体に押し付けることで、運動エネルギーを熱エネルギーに変換することで車を止めるという仕組みは変わりません。
 それでは、仕組みは同じでも構造が異なる二つのブレーキについて見ていきましょう。

ディスクブレーキ

 ディスクブレーキは、ローターもしくはブレーキディスクと呼ばれる回転する円盤に、パッドと呼ばれる摩擦材を押し付けて車を止めるブレーキです。
 ディスクブレーキは、ブレーキディスクが直接空気に触れる構造のため、放熱性に優れています。また、ブレーキのコントロールが容易であるというメリットもあります。
 その反面、錆びやすい、ドラムブレーキに比べると構造が複雑なためシステムが高価になるといったデメリットもあります。

 車はブレーキをかけると進行方向に荷重がかかります。そのため前輪側は後輪側より大きな力を制動する必要があります。
 多くの車は、多くの制動力を容易にコントロールするために、前輪側には大径のディスクブレーキを採用しています。

ドラムブレーキ

 ドラムブレーキは、ドラムと呼ばれる筒の内側に、ブレーキライニングという摩擦材が張られたブレーキシューを押し広げることで車を止めるブレーキです。
 ドラムブレーキは安価で頑丈、錆びにくいことが特徴です。そして実は、ブレーキシステムの制動力自体は、ディスクブレーキよりも高いのです。これは、ドラムが回転する力が、ブレーキシューを押し広げる力を助ける方向に働き、ブレーキライニングが自らドラムに食いつこうとする自己倍力作用が発生するためです。また、摩擦材自体が接する面積が、同じ大きさのディスクブレーキと比べて大きいためでもあります。
 欠点は、システムそのものはドラムで蓋をされる形になるため、放熱性が悪いことと、ブレーキのコントロールがしづらい点です。

 ブレーキとしての歴史はドラムブレーキのほうが古く、四輪ドラムブレーキの車も存在していました。技術が進み、より安価にディスクブレーキが作られるようになりましたが、今でも後輪にはドラムブレーキを採用する車も多いです。
 これは、値段を抑えることと、制動力の高さを生かしてシステム自体を小さくし、軽量化を行うためです。

ブレーキの異音の理由とは?

 それは、ブレーキパッドやブレーキライニングをディスクやドラムに接触させる際に異常が発生しているから、というのが結論になります。
 摩擦材を回転体に押し付ける仕組みである以上、摩擦と振動、そして音が発生します。正常なブレーキも、気付いていないだけで、音は発生しているのです。
 しかし明らかな異音がする場合は、原因がいくつか考えられます。

ブレーキパッド・ライニングの摩耗

 最初に考えられるのは、ブレーキの摩擦材の摩耗です。摩擦材は、身を削って摩擦を発生させているので、使えば使うほど減少していきます。

 ディスクブレーキの場合、ブレーキパッドが減少すると、パッドウェアインジケーターという金属でできた爪のような部品がブレーキディスクに触れます。その際に「キー」という高音が発生します。これは、ブレーキパッドの残量がないという警告装置として、自動車メーカーが敢えて設置している機能なのです。
 ドラムブレーキにはこの機能がないため、定期的な点検と余裕を持った部品交換を行いましょう。

ブレーキの摩擦面の振動

 ブレーキローターやドラムの表面に微細な凹凸ができていると、摩擦面がより大きな振動を起こし、音として表れてくることがあります。例えば錆です。
 また、目には見えない僅かな歪みや回転のブレも、摩擦面が均一にならず音を出す原因になりえます。

気温変化

 冬の早朝など、ブレーキが鳴きやすい条件があります。それは、気温が低くブレーキシステムが冷え切っているということです。
 システムは金属でできていますが、気温が低くなると金属は硬く、縮こまる性質があります。通常の気温であればある程度の柔らかさを持ったシステムが吸収できる振動が、寒い日には音となって放出されるというわけです。
 この場合は、走行を開始してブレーキが温まってくれば自然と音がしなくなるはずです。

摩擦材の素材による違い

 市販されている車の多くの摩擦材は、柔らかい金属粉や化学繊維、カーボンなどの素材を樹脂を使って結合し、成型しています。
 しかし一部の高級車や外車、スポーツカーなどはこの摩擦材の配合をより制動力を高める方向に調整された結果、普通の車よりもブレーキが鳴きやすい特性が生まれることがあります。
 さらに、社外のスポーツ走行用の摩擦材には、より硬い金属を配合していたり、樹脂を使った成型ではなく、焼結という方法で成形されているものもあります。こうした摩擦材はスポーツ走行に求められる要件を満たす反面、激しい音を発生させることが多々あります。

ブレーキの異音を止める方法

 摩擦材が減少している場合は、部品の交換を行う以外に方法はありません。放っておくと摩擦材が完全になくなり、最悪の場合は車に制動をかけることができなくなります。
 摩擦面で振動が起こっている場合は、システムの清掃や摩擦材の面取り、鳴き止め用のグリスを塗ることなどで解決できる場合があります。

ブレーキを整備するには資格、場所が必要

 ブレーキシステムは国土交通省において「制動装置」と呼ばれます。制動装置は、国が定めた「分解整備」という、定期点検整備を行う際に分解が必要であるという項目に含まれており、「認証」という制度に定められた人・工場でしか整備することはできません。これは、道路運送車両法第七十八条という、法律に銘文されていることなのです。
 オーナーが自分の車を整備する際には適用されない規則ではありますが、法律で指定するほど重要な部品であるということです。
 ブレーキからの異音の原因は、全く気にしなくていいものから、即時整備を要するものまで様々です。
 もしブレーキから異音がする場合、「たかが音」と聞き流してしまうのではなく、是非一度プロにご相談ください。