車のエンジンオイルは複数種類ある?詳細についても解説。
高性能なエンジンオイルが高性能とされるには理由があります。その理由を知っていればオイル選びに迷わないかも? 今回はもう少し踏み込んで、より専門性の高い、エンジンオイルの様々な種類についてお送りいたします。
車のエンジンオイルのうち約8割を占める「ベースオイル」とは?
前回の記事は、エンジンオイルの基礎知識についてでしたが、今回はもう少し踏み込んで解説していきます。
そもそも、エンジンオイルとは様々な成分の混合剤であり、その大部分を占めるのが「ベースオイル」です。
ベースオイルとは、エンジンオイルの主要成分であり、基礎となるオイルのことで、「基油」とも呼ばれます。
一般的なエンジンオイルはベースオイル、添加剤、ポリマーという3つの成分を組み合わせて作られており、ベースオイルはそのうち70~90%を占めています。
エンジンオイルの品質・性能はベースオイルで決まるといってもよいでしょう。
そもそも、エンジンオイルとは様々な成分の混合剤であり、その大部分を占めるのが「ベースオイル」です。
ベースオイルとは、エンジンオイルの主要成分であり、基礎となるオイルのことで、「基油」とも呼ばれます。
一般的なエンジンオイルはベースオイル、添加剤、ポリマーという3つの成分を組み合わせて作られており、ベースオイルはそのうち70~90%を占めています。
エンジンオイルの品質・性能はベースオイルで決まるといってもよいでしょう。
ベースオイルの種類
ベースオイルには大きく分けて4種類のオイルがあります。
鉱物油
原油から精製されたベースオイルです。コストパフォーマンスに優れ、最も一般的に普及している自動車用オイルです。
元々の粘度が高いことが特徴で、エンジンオイルの他にもギヤオイルや工業用オイルにも使用されます。
劣化が早く、清浄作用が悪くなりやすいことがデメリットです。
元々の粘度が高いことが特徴で、エンジンオイルの他にもギヤオイルや工業用オイルにも使用されます。
劣化が早く、清浄作用が悪くなりやすいことがデメリットです。
部分合成油
鉱物油と合成油を混合して作られたベースオイルです。
合成油
原油に複雑な処理を施して精製された「より純度の高い鉱物油」のことです。
化学合成油
上記の3種類とは違い、石油由来ではなく、目的に合わせて分子構造を変化させるなどして、人工的に作り出されたベースオイルです。
合成油と名前は似ていますが、全く別のベースオイルです。
合成油と名前は似ていますが、全く別のベースオイルです。
エンジンオイルはなぜ名前がややこしいのか
近年では原油の精製技術が向上し、純度の高い鉱物油であれば人工的に合成したベースオイルに迫る性能を引き出すことができるようになりました。
そのため、アメリカ石油協会によるベースオイルのグループ分け基準によって、「石油由来のベースオイルであっても、その性能が化学合成油と遜色ないレベルに達しているものについては”合成油”等の表現・表示ができる」と定められたのです。
つまり、市販されているエンジンオイルのうち、「合成油」と表示されているものについては、ベースオイルが合成油であれ化学合成油であれ、性能については担保されていると解釈できます。
そのため、アメリカ石油協会によるベースオイルのグループ分け基準によって、「石油由来のベースオイルであっても、その性能が化学合成油と遜色ないレベルに達しているものについては”合成油”等の表現・表示ができる」と定められたのです。
つまり、市販されているエンジンオイルのうち、「合成油」と表示されているものについては、ベースオイルが合成油であれ化学合成油であれ、性能については担保されていると解釈できます。
エンジンオイルにおけるベースオイルのグループ
ベースオイルには、種別分けとは別に、アメリカ石油協会(American Petroleum Institute:API)によって5段階にグループ分けされています。
表におけるグループⅢ以降は合成油と表記され、一般的に高性能エンジンオイルとされています。
表におけるグループⅢ以降は合成油と表記され、一般的に高性能エンジンオイルとされています。
グループⅢ
グループⅢのVHVIとは”Very High Viscosity Index”の略で超高粘度指数という意味です。
粘度指数とは、エンジンオイルの粘度の温度変化の指標であり、これが高ければ高いほど、高温下でも粘度を安定して保つことができます。
また、GⅢ+やGⅢ++といった上位グループも存在します。
粘度指数とは、エンジンオイルの粘度の温度変化の指標であり、これが高ければ高いほど、高温下でも粘度を安定して保つことができます。
また、GⅢ+やGⅢ++といった上位グループも存在します。
グループⅣ
グループⅣのPAOとは「ポリαオレフィン」のことです。石油系ではない合成炭化水素であり、高分子(ポリマー)と呼ばれる化合物でできています。
そのため、非常に高い粘度指数を持っています。
そのため、非常に高い粘度指数を持っています。
グループⅤ
最も有名なベースオイルはエステルですが、AN(アルキルナフタレン)という化合物もあります。
古くはひまし油も潤滑油として使用されていましたが、こういった植物油もエステルに分類することができます。
ひまし油は金属表面と大変馴染みやすく、潤滑作用に優れていますが、劣化が著しく早く、現在では特殊な用途にしか用いることはありません。
合成エステルは、ひまし油のメリットを人工的に生み出すために作られた化合物といえます。
古くはひまし油も潤滑油として使用されていましたが、こういった植物油もエステルに分類することができます。
ひまし油は金属表面と大変馴染みやすく、潤滑作用に優れていますが、劣化が著しく早く、現在では特殊な用途にしか用いることはありません。
合成エステルは、ひまし油のメリットを人工的に生み出すために作られた化合物といえます。
エンジンオイルのグレードとは
エンジンオイルの粘度表記の前半部分に記されているのが、オイルの品質、性能を表す規格です。
API規格とは、上記のアメリカ石油協会(API)の他に、アメリカ自動車技術者協会(SAE)、アメリカ材料試験協会(ASTM)の三者が定めた規格です。
ILSAC規格は、日米自動車工業会が制定した規格で、API規格に加えて省燃費性能を評価しています。
API規格とは、上記のアメリカ石油協会(API)の他に、アメリカ自動車技術者協会(SAE)、アメリカ材料試験協会(ASTM)の三者が定めた規格です。
ILSAC規格は、日米自動車工業会が制定した規格で、API規格に加えて省燃費性能を評価しています。
最後に
様々に分類されるエンジンオイル、特にそのベースオイルについて解説しましたが、実はエンジンオイルメーカーはベースオイルについてほとんど公表や宣伝をしていません。これには、成分の中身や比率そのものが企業秘密に値することや、ユーザーに公表しないほうが販促をする上でのメリットになりうることなど、様々な理由があります。
しかしこの記事の知識を使えば、少ない情報からも、メーカーが販売しているオイルがどのようなオイルなのか、概要を掴むことができるはずです。
普段何気なく交換しているエンジンオイルですが、ランチのメニューを考えるように、「今日はどんなオイルを入れようかな?」と考えてみるのも楽しいのではないでしょうか。
しかしこの記事の知識を使えば、少ない情報からも、メーカーが販売しているオイルがどのようなオイルなのか、概要を掴むことができるはずです。
普段何気なく交換しているエンジンオイルですが、ランチのメニューを考えるように、「今日はどんなオイルを入れようかな?」と考えてみるのも楽しいのではないでしょうか。